「理系なのになぜか年収が上がらない」——そんな悩みを持つ人は多い。厚生労働省の白書は、この現象が個人の問題ではなく、日本社会の構造的な問題であることを明らかにした。
衝撃のデータ:日本の理系大学院卒は「稼げない」
「令和8年版 労働経済の分析」(厚生労働省, 2026)では、主要4か国(日本・米国・英国・ドイツ)の理系・文系専攻者の所得分布を比較している。
結果は衝撃的だった。
理系大学院卒業者の所得分布(国際比較):
- 日本:「中央値未満」の割合が高く、「上位10%」の割合が低い
- 米国・英国・ドイツ:上位に分厚い分布
一方、文系大学院卒業者を比較すると、日本と米国・英国・ドイツの差はそれほど大きくない。
つまり、「理系であること」の価値が、日本だけ著しく低いという現象が起きている。
なぜ日本の理系は稼げないのか
白書はその構造的な原因をこう指摘している。
原因1|理系の学び場が少なすぎる
日本の大学に設置されている学部のうち、理系(STEM)に関係する学部は全体のわずか12%。
国際比較でも、理系人材の学びの場が少ない可能性が示されている。供給が少ないのに、なぜ賃金が低いのか——次の原因が説明する。
原因2|企業が理系スキルを「正しく評価できていない」
世界経済フォーラム(WEF)の調査では、各国の「教育機関での学びと産業界のニーズの合致度」を経営者が評価している(7点満点)。
| 国 | スコア |
|---|---|
| 米国 | 5.6 |
| ドイツ | 5.4 |
| G7平均 | 4.8 |
| 日本 | 4.4 |
日本はG7の中で最も低い。企業側が理系人材のスキルを正しく理解・評価できていないため、賃金が上がらない構造になっている。
原因3|大学院進学率が高いが、報われない
日本の理系学部卒業生の大学院進学率は非常に高い(工学系で約69%)。しかし大学院で積んだ専門スキルが、就職後の賃金に反映されていない。
「転職」が理系人材の年収を上げる最大の手段
日本企業の多くが理系スキルを正当評価できていないなら、それを正当評価してくれる企業に転職するのが最も現実的な解決策だ。
理系人材の年収が上がりやすい転職先:
1. 外資系IT・コンサル 技術スキルへの評価が高く、年収1000万円超も珍しくない。英語力があれば選択肢が一気に広がる。
2. AI・データサイエンス関連スタートアップ 機械学習・AIエンジニアへの需要は急増中。求人数・年収ともに右肩上がり。
3. 大手メーカーのDX部門・研究開発部門 従来の「理系=現場配属」ではなく、DX・デジタル化部門では理系スキルが高く評価される。
4. 理系スキルを活かせるコンサルティング ITコンサル・技術コンサルは、理系バックグラウンドに高い報酬を払う業界のひとつ。
AI時代は「理系の時代」——でも転職で戦略が必要
AI・データ活用が経済成長の鍵になる時代において、理系人材の価値は本来もっと高いはずだ。
しかし日本企業の多くは、まだその価値を正当に評価できていない。
理系人材が年収を上げるためには、「正しく評価する会社に移る」という戦略が不可欠だ。
まとめ
- 日本の理系大学院卒は、米国・英国・ドイツと比べて所得分布が低い
- 原因は個人の問題ではなく「理系の学び場の少なさ」と「企業の評価能力の低さ」
- AI時代は理系スキルの市場価値が急上昇している
- 転職で「正しく評価する企業」に移ることが最も効果的な解決策
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